元カフェ経営者の福井です。
カフェを開業するにあたり、どんな資格が必要なのか疑問に思いますよね。
私自身は全くの異業種からカフェを開業しているので、飲食店の資格に関する知識は全くありませんでした。
夜な夜なネットで情報を探したことを思い出します。
当時のネットは、『必要な資格』と『取得しておいた方がいい資格』が混在していて、結局何を取ったらいいのかわからない!ということがありました。






ということで、カフェを開業するために『必要な資格』と『取っておいた方がいい資格』の2本立てでご紹介したいと思います。
- カフェ開業のために『必要な資格』
- カフェ開業するにあたり『取っておいた方がいい資格』
それでは早速ご紹介したいと思います。
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カフェ開業に「必要な資格」
大半のカフェで必要な資格は、たった一つしかありません。
それは食品衛生責任者です。
調理師免許が必要なんじゃないかと思いがちですが、カフェをはじめとする全ての飲食店において調理師免許は必須の資格ではありません。
(1)食品衛生責任者

公益社団法人日本食品衛生協会には下記のように記載されています。
食品を取り扱う施設では、施設ごとに営業許可を取り、また、食品衛生責任者を置く必要があります。
食品衛生責任者は各都道府県等の食品衛生協会において講習会を実施しています。
また、栄養士、調理師、製菓衛生士等の資格をお持ちの方は講習会を受講しなくても食品衛生責任者になることができます。
飲食店では必ず1名以上の食品衛生責任者をおくことを定められています。
カフェを開業するにはこの資格を必ず取ってくださいね!ということなのです。
(1)−1 食品衛生責任者の取得方法
取得方法は簡単です。
各地域の保健所で丸一日の講習とテストを受けることで資格を取得することができます。地域によっては講習のみでテストが不要の場合もあります。費用は10,000円程度です。
私が住んでいる青森市では年間のスケジュールが掲載されています。
http://www.aomori-syokukyo.jp/koushu.html
ちなみに「雑貨の販売がメインで、お客様にドリンクを提供する」ようなお店であっても、飲食の提供になるので資格が必要となります。
開業までに予定を組んで資格を確実に取得しましょう!
(1)−2 開業まで間に合わないよ!!という方
開業日が急遽決まってしまい、それまでに食品衛生責任者を取得できないよ!という方もいらっしゃると思います。
他にも、新規オープンする店舗で誰が食品衛生責任者になるかギリギリまで決まらないという場合もありますよね。
そんな時は裏ワザを使ってください。
各地域の保健所で次回の食品衛生責任者講習を申し込みすることで開業することができる場合があります。※絶対ではありません!
カフェを開業する場合、資格とは別に飲食店の営業許可が必要となります。
保健所が飲食店に適した店舗になっているか審査を行い、その審査を通った店舗が飲食店として営業する許可を与えられるのですが、食品衛生責任者を持っていないと審査の申し込み自体ができません。
そこで次回の講習を受講すると約束することで、審査の申込みが可能となるのです。
保健所の検査については、こちらの記事に詳しく書いてます。
初心者でも分かる飲食店営業許可の手続き・流れ
https://pro.gnavi.co.jp/bukken/article/bukken13626/
ここを避けては通れない!保健所OKを出すための11のチェックリスト
https://monstar.ch/omiselab/business/healthcenter-check/
(1)−3 食品衛生責任者についてまとめ
- 講習会・テストを受けることで資格を取得できる
- 費用は1万円程度
- 開業までに間に合わない場合も次回の講習の申し込みをすれば大丈夫
ということでした。忘れずに取得してくださいね。
続いて、店舗によっては必要な資格をご紹介します。
(2)防火管理者

日本防火・防災協会のホームページに下記のように記載されています。
防火管理者とは、多数の人が利用する建物などの「火災による被害」を防止するため、防火管理に係る消防計画を作成し、防火管理上必要な業務(防火管理業務)を計画的に行う責任者をいいます。
消防法では、一定規模の防火対象物(*1)の管理権原者(*2)は、有資格者の中から防火管理者を選任して、防火管理業務を行わせなければならないとされています。
防火管理者の選任が必要な防火対象物は、次の「防火管理者の資格」をご覧ください。
*1 防火対象物:建築物や工作物など、火災予防の対象となるもの(の全体)をいいます。
*2 管理権原者:防火対象物の所有者や借受人、事業所の代表者など、管理行為を当然に行うべき者(防火管理の最終責任者)をいいます。
飲食店の場合、店内の収容人数が30人を越えると防火管理者が必要となります。
収容人数とは客席数+店員の人数です。客席が28席で、店員が3人いる場合は合計で31人になりますので防火管理者が必要になるのでご注意ください。
(2)−1 防火管理者の取得方法
この資格も各地域の消防署の講習を受けることで取得することができます。詳しくは管轄の消防署へお問い合わせください。
収容人数によって甲乙種のどちらが必要か変わります。
講習期間および費用も甲乙で違いがあり、期間が1〜2日、費用は6,500円〜7,500円程度となっています。
オープン予定のカフェがどれくらいの規模になるか、消防署に相談して間違いのないように資格を取りましょう。
(2)−2 防火管理者についてまとめ
- 収容人数が30人を超える場合は資格が必要
- 甲乙種の資格がある
- 講習期間は1〜2日程度
- 費用は6,500円〜7,500円程度
カフェ開業に「必要な資格」まとめ


思ったよりも簡単に資格が取れると感じた方も多いでしょう。
食品衛生責任者は、カフェを開業するためには必須の資格です。
受講料も忘れずに開業資金の中で用意しておきましょう。
また、開業までに余裕を持って資格をとっておくことをオススメします。
段取りはカフェを開業してからも大事なことですからね!
カフェ開業に「オススメな資格」
ここまで「必要な資格」をご紹介してきました。
このセクションでは、現役でカフェを経営している私がオススメする「取得しておいた方がいい資格」をご紹介していきます。
(1)日商簿記3級

「いきなりカフェ関係ないっ!」とツッコミが聞こえてきますが、心の底から一番大事な資格だと思っています。理由は2つあります。
- 複式簿記ができれば節税できる
- お金の流れがわかる
(1)−1 複式簿記ができれば節税できる
カフェを開業したら、お店の家計簿を付けなければなりません。
この家計簿を元に最終的な利益を確定して納税をするからです。
もし家計簿をつけずに納税しなかったらどうなるか?いわゆる脱税行為にあたります家計簿は必須です。
ところで、貸方・借方という言葉を聞いたことがあると思います。それが複式簿記の概念です。
複式簿記とは? https://biz.moneyforward.com/blog/12515
ここでは複式簿記の詳しい内容については割愛しますが、複式簿記を使うことができれば税金を納める上で優遇される「青色申告」を適用することができます。
もちろん一般的な家計簿のような単式簿記(その場合は白色申告)を取り入れることも可能ですが、青色申告の方が税金が優遇されます。
青色申告のメリットは税金が優遇される上に、仮に赤字になったとしたら翌年に赤字を持ち越すことができます(=翌年も税金をおさえられる)。
数百万円単位で節税になる場合もありますので、簿記3級は必須の資格と考えてもいいくらいです。
私は大学の時に取得してましたので、創業時は思い出しながらやりました。
これから勉強する方は、このテキストを買っておけば問題ないでしょう。
(1)−2 お金の流れがわかる
簿記を勉強するメリットは節税以外にもあります。
カフェを開業した途端にあなたは立派な経営者です。
経営者の最大のミッションは店舗の売上を上げてしっかり利益を出すことですよね。
それなのに、多くの飲食店経営者は最終的に赤字になってしまうのです。
なぜだと思いますか?
カフェを含む飲食店は現金商売のため、毎日毎日手元に現金が入ってきます。
仮に、毎日5万円の売上があったらどうでしょうか?
お金持ちになった気持ちになってしまいますよね。

実際は売上の全てが残るわけではありません。しかし、お金持ちになったつもりで浪費してしまうんですよね。
以前こんな記事も書きました。

複式簿記がわかっていれば、客観的にお金の流れを見ることができます。
お金持ちになったと勘違いして資金繰りに困らないためにも、簿記は勉強しておきたいところです。
(2)食べ物系の資格

次にオススメなのが「食べ物系の資格」です。理由は、
- 食に関わる仕事なので知識として持っておいた方がいい
- 有資格者のいるカフェとして売り出せる
例えば、「ごく普通の野菜カフェ」と「野菜ソムリエのいる野菜カフェ」ではどちらが魅力に感じるでしょうか?
大半の方が後者に魅力を感じると思います。
カフェのコンセプトに合わせて資格を検討すると良いでしょう。
個人的に食べ物系の資格の中でもオススメのものをご紹介したいと思います。
(2)−1 フードコーディネーター
フードコーディネーターは、特定非営利活動法人日本フードコーディネーター協会が認定する民間資格です。
日本で最初の唯一のフードコーディネーター資格です。現在、認定試験は3級、2級、1級試験をそれぞれ年1回ずつ行っており、3級合格者は28,300人(内 資格取得者 約23,800)を突破し、2級合格者は約1,470人(内 資格取得者 約1,430人)以上に、1級合格者は78人(内 資格取得者 77人)となりました(2018年3月現在)。
「食」に関する幅広い知識から、フード業界でプロとして活動できるレベルまであります。
カフェを運営していく上での基礎知識にもなりますので、ジャンル問わず役立つ資格と言えるでしょう。
(2)−2 野菜ソムリエ
野菜ソムリエは、一般社団法人日本野菜ソムリエ協会が認定する民間資格です。
野菜ソムリエの使命は、生産者と生活者の架け橋となること。
野菜・果物の目利き、栄養、素材に合わせた調理法など毎日の食生活に欠かせない野菜・果物の幅広い知識を身につけることで、家族の健康や食に関わるさまざまな仕事に活かすことができます。すでに5万人以上の野菜ソムリエが誕生し、料理教室・セミナー講師、食育活動、コラム執筆、レシピ開発、青果販売など、さまざまなフィールドで活躍しています。
野菜や果物の正しい知識を得るために勉強することも非常に大事ではありますが、やはり「野菜ソムリエのいるカフェ」というブランディングをできるメリットが大きいと思います。
受験費用は148,000円(税込)と高額ですが、お店の看板になると思えば十分に回収できる金額ですし高い費用ではありません。
(2)−3 調理師免許
ド定番、国家資格の調理師免許です。まぁ、、、持っていれば「料理の基礎知識はあるんだね」くらいでしょうか。
オススメの資格の話をしているのですが、あまりにも有名なのであえて書きました。ぶっちゃけカフェを運営する上では”不要”です(苦笑)。
(2)−4 その他資格
他にも調理師免許(国家資格)、薬膳(一般社団法人国際薬膳食育学会)、製菓衛生師(一般社団法人 全国製菓衛生師養成施設協会)、食育インストラクター(特定非営利活動法人NPO日本食育インストラクター協会)、だしソムリエ(だしソムリエ協会)など食べ物系資格は多数あります。
足りない知識や技術を補完する目的で取得するも良し、店舗のブランディング目的で取得するのも良いでしょう。開業するカフェの方向性を考えてぜひ取得を検討してみてください。なお、受験資格に経験年数が必要な場合がありますので受験要項をしっかりと読んでおきましょうね。
(3)コーヒー・飲み物系の資格

カフェと言えばコーヒー、コーヒーと言えばカフェですね。コーヒーのことが全然わからない方にもオススメですし、自分の知識やスキルを整理する目的で取得するのも非常にオススメです。
(3)−1 JBAバリスタ ライセンス
日本バリスタ協会(JBA)がプロのバリスタを認定する民間資格です。
http://www.jba-barista.org/index.html
本場イタリアのエスプレッソの知識と技術を習得できる実用的な資格です。
私自身エスプレッソの知識を整理するために認定講座を受講したところ、今まで疑問に思っていたことが全てクリアになりました。
講師の方は実際に本場でエスプレッソをいれたり、カフェやイタリアンバルを経営されていたりと知識・経験共に豊富な方々でした。
ライセンスの受験資格に認定講座の受講が必須条件となっています。時間と費用がかかりますが、エスプレッソにこだわったお店を目指す方は受講することをオススメします。
(3)−2 コーヒーマイスター
日本スペシャルティコーヒー協会が認定する民間資格です。
コーヒーに対するより深い知識と基本技術の習得をベースとして、お客様へ豊かなコーヒー生活が提案できるプロのコーヒーマン(サービスマン)のことで、わが国では初めての認定資格となります。
日本スペシャルティコーヒー協会が主催する「コーヒーマイスター養成講座*」を修了し、認定試験に合格すると、コーヒーマイスターとして認定されます。
引用元: http://www.scaj.org/
私自身は受講したことがないので詳細は不明ですが、この資格を持っている人は知識、技術共に非常に優れています。
コーヒーにこだわるお店を目指すならマスト資格と考えてもいいかもしれませんね。
店舗のブランディングにも役立ちますし、日本スペシャルティコーヒー協会に所属することでコーヒーに関する情報を入手できる等メリットも大きいと考えられます。
(3)−3 その他資格
コーヒー系ではIIAC認定資格(国際カフェテイスティング協会)もあります。
それぞれの協会によって若干方向性が違いますので自分が勉強したい方向性を見つけることが必要です。
また講師がバリスタ協会と共通(両方のインストラクター資格を持っている)だったりしますので、どちらを受講したから知識が偏るということもないかと思います。
飲み物系では、日本茶の資格(表千家、裏千家)、ハーブティーの資格(日本メディカルハーブ協会)、カクテルの資格(一般社団法人日本バーテンダー協会)、ワインの資格(一般社団法人日本ソムリエ協会)など多岐にわたります。
オススメな資格まとめ
取っておいた方がいい資格はたくさんありましたね。
しかし注意しなければいけないことが1つだけあります。
それは、民間資格は数年で更新する必要があるということです。
会社員のように資格を取ったから給料が上がるということもありませんし、資格を持っていても実際は売上に貢献しないという場合もあります。
お店の方向性に合わせて本当に必要な資格を取得するようにしましょう。
まとめ
カフェ開業に『必要な資格』と『取っておいた方がいい資格』をまとめました。
「カフェ開業にオススメの資格は何?」という質問が非常に多いのですが、どんなお店をやりたいのか、その人がどんな知識や能力があるのかによって様々です。
わざわざ取る必要もない場合もあります。
何となく資格を取っておいた方がいいという考える気持ちもわかりますが、食品衛生責任者さえ持っていれば、特別な資格がなくてもカフェは開業できることを強く言いたいと思います。
会社員は資格を持っていると給料が上がったり、できる仕事が増えたり様々なメリットがあります。
しかし独立してしまえば、資格があるから給料があるわけでもありません。
資格取得には時間とお金がかかります。
ただでさえ時間とお金がかかるカフェ開業なので、最低限、必要な資格を見極めて取得するようにしましょう!
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