こんにちは、福井(@aomorio)です。
飲食業界は独立志向が強く、いつかは自分の店を持ちたいという人が多い業界だと感じています。
理由は様々あると思います。
- 自分のやりたいことやりたい
- 自分の料理でお客様を喜ばせたい
- 自分の城を築きたい
- 自分が選んだスタッフと一緒に働きたい
など、前向きな理由で独立を考える人もいれば、
- 人に使われることが嫌だ
- すべて自分の思い通りにやらないと気が済まない
- 人間関係が嫌だ
というような、後ろ向きな理由で独立を考える人もいると思います。
この記事では、決して独立することだけが正解ではなく、雇われながら自分のやりたいことを目指す方が本当は幸せなのではないか?そんなことを考えてもらいたいと思って書きました。
飲食店で独立を考えている人はぜひ最後まで読んでみてください。
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「飲食店で独立する」ことは店の全ての仕事に責任を持つこと

独立すると全ての仕事に責任を持つことになる、この一言に集約されます。
どのような理由で飲食店で独立を考えていようと、独立したからには全ての仕事が自分の責任です。
例えば、
- 店の売上を上げる
- 集客、販促
- 人材教育
- 評価制度の構築
- 接客のやり方
- 調理手法
- 衛生管理
- 在庫管理
- 備品管理
- 従業員の給与の振り込み
- 労働関係の手続き
- 残業管理
- 税金関係の手続き
- 保健所のやりとり
- 各種契約
- 保険の手続き
上記に挙げたのは私の頭の中に一瞬で思い付いた仕事ばかりですが、それでもこれだけ出てきました。実際はもっともっと多くの仕事があります。
独立するということは、これら全ての仕事に対して、オーナーが全責任を負って取り組まなければなりません。
「労働関係は全くわからなくて…」「食品の衛生管理は疎くて…」は通用しません。故意でなくても知らずに法律を破っていたら違法は違法ですし、衛生管理の知識がなくて食中毒を出したら一発退場です。
「自分の好きなことやりたい」と思って独立しても実際はやりたいこと以外の仕事が多いです。
「誰かに使われるくらいなら自分でやる」と意気込んで独立しても今度は従業員で悩む可能性も考えられます。
飲食店で独立するというのは、想像以上に大変で、キツくて、ストレスも溜まるし、一個一個が泥臭くて、その上に全責任が自分にあるということです。
それでも独立をしたいか、それが本当に自分の幸せになるのか、一度考えてほしいと思っています。
好きなことだけをやりたければ雇われていた方がいい

飲食店で独立する理由として「自分の好きなことだけしたい」「好きな料理だけ作りたい」を挙げる方もいらっしゃいます。
しかし、それが本当に独立しなければできないことなのかはよく考えるべきです。
借金してでもやりたいくらい好きなのか
飲食店を新規開業するほとんどの人は、自己資金では足りず、銀行からお金を借りて開業します。あなたがやりたいと思っている「好きなこと」は借金してまでもやりたいことでしょうか。
借金は数十万円ではありません。数百万円、もしかしたら一千万円を超える借金を抱えて飲食店を開業することになります。数年かけてお金を返しながらやっていきます。
それだけのお金を借金してでも、本当にやりたいことですか?一度よく考えるべきだと思っています。
実は好きなことをやる時間がない
独立するとお店に関する全ての仕事に責任を持たなければなりません。
「料理の時間をもっと取りたい」
「新メニューの開発をしたい」
「接客をもっと極めたい」
でも、、、
「売上の集計しなきゃ」
「新しくスタッフを採用したから労働局に行かなきゃ」
「明日給与だから振り込みしなきゃ」
毎日毎日、やらなければいけない仕事に追われるので、実際は自分の好きなことやる時間がありません。
雇われていた方が好きな仕事に集中できる
雇われていた方が自分の役割が限定されるので、実は好きな仕事に集中することができます。
「出勤して退勤するまでずっと調理場にいる」
「ホールに出て接客をしている」
これは自分の役割が限定されているから、その仕事だけやっていられます。
独立してオーナーになれば、何度も言ってるように、料理だけしていればいいわけではありません。接客だけが仕事でもありません。
もちろん独立して自分の好きな仕事だけする環境を作ることはできます。ただし、従業員を雇い、教育し、組織を作り、それが機能し始めてからの話です。
手っ取り早く好きな仕事だけしたいなら雇われていた方がいいし、今の環境でできないなら独立ではなく転職をした方が良いでしょう。
従業員を雇って苦しむこともある

従業員の悩みはいつまでもついて回ります。それでも独立することが正解なのか、ぜひ考えてみてください。
人間関係はオーナーになっても悩む
「今まで職場の人間関係で悩んできた。だから独立して自分で飲食店を開業すれば悩むことはないんじゃないか。」
そんな風に思っているなら、独立しても人間関係は悩むでしょう、と言っておきます。
自分と従業員との人間関係で悩むことは普通にあります。
オーナーになれば従業員同士の人間関係にも介入しなければならないので、余計に悩みが増えることもありえます。
人間関係で悩んでも自分で解決するしかない
雇われの身であれば人間関係で悩めば職場を辞める選択肢があります。逃げることはできるんですね。
しかし、自分がオーナーであれば人間関係の問題から逃げられません。
自分の力で解決するしかない。
だから人間関係で悩みがちな人は、独立する時はよく考えるべきです。
給料を払っているのに働かない人が気になってしまう
雇われの時は「アイツ本当働かないよな〜」とちょっとムカつく程度だったことも、いざ自分が給料を払う立場となれば、ムカつくでは済まない感情が生まれます。
今はそういった感情が出てくることはありませんが、最初の頃は本当に悩みました。。
売上が上がらなければ眠れない夜もある

独立して飲食店を開業する=自分で稼いでいくことです。当たり前ですが。
雇われていた時は「今日の売上これくらいか〜」と一喜一憂していたことも、自分の生活がかかっていれば一喜一憂では済ませられません。
お客さんが来ない!どうしよう!
どうしよう・・・
どうしよう・・・
どうしよう・・・
売上が上がらないことをついつい考え込んでしまい、眠れない夜もあります(経営者の自殺も多いです)。
そんなリスクを背負いながらも独立をしなければいけないのか、それが本当に幸せなのか。売上が上がらない日々を乗り越え、その先にある世界を目指して頑張り切る覚悟はあるでしょうか。
休日は存在しない、超ブラック労働

「週休1日はとりなさい。1日8時間労働にしなさい。」
これは雇われた人を守るために国が定めた法律です。
独立してしまえば、この法律は適用外です。365日24時間働こうが、国は守ってくれません。それが独立して飲食店を開業するということです。
店休日を作って休んでもいいでしょう。
しかし多くの飲食店経営者は、休みの日に溜まった事務仕事をしたり、役所に行ったり、営業日にできない仕込みをしたりしています。
お店の休みはあっても自分の休みはありません。
オーナーになれば寝る時間以外は常にお店のことを考えるようになります。
「次の新メニューはこうしよう。」
「明日はこれを試してみよう。」
「そうだ、来月はこのイベントがあったからこれをやろう。」
ずーっと頭の中は仕事、仕事、仕事。人生=仕事です。
一言で言えば、超ブラック労働です。
そんな生活を幸せと思えるか、思えないか。あなたはどっちですか?
嫌になっても逃げることができない

一度、飲食店を開業してしまうと逃げることができません。
いや、正確には逃げられます。逃げるにはリスクが伴う、という言い方が正しいかもしれません。
お店を開業する時に借りたお金はどうするのか。物件によっては店を閉めるにもお金がかかります。雇用した従業員はどうするのか。店を閉めた後の仕事はどうするのか。
逃げられなくはないが、逃げるためには多くの問題を解決しなければいけません。
であれば、逃げずにやりきる覚悟を持って飲食店を開業すべきです。
逃げることができない仕事は、本当に自分にとって幸せなのでしょうか。
独立して飲食店を開業するから得られることもある
ここまで不安を煽るような書き方をしてきましたが、独立することが全て悪いわけではありません。
- 独立しなければいけない理由がある
- 実現したい世界がある
そのように考えているなら、一度きりの人生、ぜひ独立を目指してください。
雇われたままでは一生得ることができないことも、独立することによって得られることもあります。
- 人間的な成長(知識、スキル、経験)
- 成果を出した分の報酬
- 幅広い人脈
- 自分の生活スタイルをコントロールできる
などなど。
たくさんの仕事をやるから身に付く知識やスキル、人生経験。従業員との人間関係も、裏を返せば自分にとって良い経験になり、人間的な成長につながります。独立したからこそ出会える人脈も増えます(同じ飲食店経営者仲間、他の業界の社長など)。
何のために独立をしたいのか?
何のために飲食店を開業しなければならないのか?
その答えをもって独立した人は、どんな困難があろうとも、きっと幸せな人生になるに違いありません。
自分の人生を幸せに過ごすために、本当に独立すべきなのか、やっぱり雇われの方がいいのか、よく考えてみてほしいな、、と思っています。
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