元カフェ経営者の福井(@aomorio)です。
カフェ好きが多いように、カフェを開業したがる人も多いです。

中華料理屋さんをやりたい人は見かけませんが、カフェをやりたい人はかなりいます。
飲食業界ではカフェは儲からないとよく言われます。
それなのに、なぜ開業志望者が跡を絶たないのでしょうか。
カフェを3店舗も経営してしまい(!?)、多くの開業志望者の相談にのっている私の経験から見解を示したいと思います。
カフェは本当に儲からないのか
カフェは儲からないが定説ですが、本当に儲からないのでしょうか?
私の経験上、カフェはやり方次第だと断言できます。
カフェチェーン店が存在しているから儲からないわけではない
スタバ、ドトール、ベローチェ、ルノアールやコメダ珈琲など、世の中にはたくさんカフェ(喫茶店)チェーン店が存在しています。
つまり、やり方が正しければビジネスとして成り立つということは市場が証明しています。
儲かるカフェの特徴
それでは大手チェーン店はなぜ儲かっているのでしょうか。以下、私なりの考えです。
信用がある
大手チェーン店には、とりあえずそこなら間違いないという信用があります。
また、スタバやドトールが新商品を発売したら、誰もが「おいしいに違いない」と思います。これは信用があるからこそです。
この信用が安定した集客を生み出しています。
商品の圧倒的な収益性
儲かるカフェは収益性が良くなければいけません。
大手カフェチェーン店は、生産から販売まで一貫して自社で行い(コーヒーは農場から作る)、さらに大量仕入れで仕入価格を抑えているため、低原価で商品を作ることができます。
580円のフラペチーノが原価率15%だとしたら粗利は493円です。これはレストランで700円の食事を提供しているのと同じ粗利です。
高回転率で客数が多い
巧みなマーケティングで圧倒的なたくさんのお客さんを集め、計算し尽くされた商品設計・店舗設計で高回転率を生み出しています。テイクアウトの仕組みも完璧です。だから儲かります。
カフェ開業者がやりがたる個人カフェは儲からない
それでは、カフェ開業者がやりたがるカフェがどのようなカフェなのか考えてみます。結論から言うと儲かるカフェのほぼ真逆です。
信用がない
信用は一朝一夕でできるものではありません。

会社員を辞めてカフェを開きました!!
長年カフェに携わり、その間もまめに情報を発信をし、自らのスキルを高めてきた人ならまだしも、脱サラして開業したカフェに誰が行くのかって話です。
さらに、10店舗あるカフェと1店舗しかないカフェでは、10店舗あるカフェの方が信用度が高くなります。その点でやはり個人カフェは弱い。
私が開業した時は信用がないことに苦労しました。ブログにも「あの店は素人がやってるからすぐに潰れる」と書かれたことも。
信用を得るためには時間がかかります。
商品の収益性が悪い
自分がお客さんだったら、個人カフェに何を求めて行くでしょうか。
一つはオシャレなカフェごはんです。開業志望者も自分のカフェでカワイイ料理を出したいと思っていることでしょう。
しかし、オシャレなカフェごはんは原価がかかります。
低回転率で客数が少ない

ゆったり。静か。そんなカフェを開きたい
カフェ開業者が口を揃えて言うコンセプトです。
どう考えても低回転率で客数が少ない業態です。儲かるわけがありません。
儲からないカフェをやりたがる理由
そんな儲かりにくいカフェをなぜやりたくなるのか。
実際に5年間カフェを経営して、多くの開業志望者の相談を受けたり、従業員の採用面接で見えてきたことがあります。
「カフェ店員」に憧れている
「カフェで働いている」「カフェ店員」その肩書やイメージに憧れてる人が本当に多いです。

オシャレでかわいくて、キラキラした人たちが働いている。私もそんな働き方をしたわ!
本音はこんなところでしょう。
現に、カフェで求人をかけるとすぐに集まります。カフェ以外の業態でも求人をかけたことがあるのでその差がよくわかります。それだけカフェで働くことに対して良いイメージを持つ人が多いです。
「自分もカフェを開業してキラキラ働きたい」そう思うのは何も間違ったことではありません。
儲かるかどうかはさておき、自己実現を通して人生を豊かにすることは共感します。
「カフェ」という空間に憧れている

カフェ巡りが趣味です!
面接に来られる方の多くは「カフェが好きです!」と言います。
相談に来られる開業志望者も「カフェ」という空間そのものに憧れを抱いてる方が多いです。
しかし、その多くは「お客さんとして利用したカフェ」に憧れています。
「お客さんとしてカフェに行く」のと「自分でカフェを開く」のでは全く違います。スポーツ観戦は好きだけど自分でスポーツをやるのは嫌い、そんな状態になりかねません。
カフェも中身は飲食店です。リラックスできるのはお客さんだけ。仕事の大変さはその他飲食と変わりありません。
自分で作った「カフェごはん」で友達が喜んでくれた経験がある

友達にご飯作ったらすごい喜んでくれて。自分でカフェを始めてたくさんのお客さんに喜んでもらいたい!
「自分が作ったご飯で人に喜びを与えたい」飲食店を経営する上でとても大事な動機です。
とは言え、否定するようで申し訳ないのですが、「趣味で料理を作り喜んでもらうこと」と「ビジネスとして料理を作り喜んでもらうこと」では感じ方が違ってきます。
前者は無償の愛、後者は有償の愛です。
無償の愛が家族や友達のためなら損得関係なく何かしてあげることであり、有償の愛はお金をもらって損得ありきで何かしてあげることです。

う〜ん、友達から1000円もらうと思ったら、もっとちゃんと作らないといけないなぁ。考えただけでも面倒だなぁ。
ビジネスとしてカフェを経営していく覚悟が必要です。
カフェならいけそうな気がする

カフェなら自分でもできそうな気がします!
相談者の多くが言う言葉です。
「料理作れるし、コーヒーいれられるし」
ちょっと料理ができるから
ちょっとコーヒーに詳しいから
そんな理由でカフェを開業しようと思ってる人が多い印象です。
まとめ
カフェに対する強い憧れや思い、自分の過去の経験から、カフェを開いて夢を叶えることはとても良いことです。開業する動機としても立派なものだと思います。
しかし、収入がゼロだったり赤字で運営が難しくなるようでは、愛情込めて作ったカフェも長く続けることはできません。
そこには儲かるカフェの仕組みが必要で、個人カフェでもしっかり利益を出す方法はあります。(今度記事書きまたいと思います)
理想のカフェを考えるのはとても楽しいものです。でも理想に逃げず、現実とのギャップを埋めていくことがカフェで成功する一歩になるでしょう。

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