元カフェ経営者の福井(@aomorio)です。
ツイッターでこんなことつぶやきました。
個人カフェを開業する時
— 福井👨🍳カフェ経営者 (@aomorio) October 24, 2019
店の規模として
①自分一人で回せる超小規模
②従業員2-5人雇う小規模
③従業員5-10人雇う中規模
大概この3パターンに分かれる。
それぞれメリット・デメリットがあるので、そこを考えた上で開業しないと後から苦労する🤔
思いがけず興味のある反響をいただいたので、私の経験から、カフェの規模ごとのメリット、デメリットについてまとめてみました。
なお、スタバやドトールのようなコーヒーチェーン店、ワイアードカフェなどそこそこ大きい規模でカフェを展開している店については割愛します。
本記事でまとめるのは、個人カフェや数店舗程度の規模で経営する小規模カフェが対象です。
この記事を読んで「自分に最適な規模のカフェ」が見つかればいいなぁと思っています!
個人カフェの規模としては3つに分けられる
- 自分一人で回せる超小規模
- 従業員2-5人雇う小規模
- 従業員5-10人雇う中規模
だいたい、この3つに分けられるでしょう。
1つずつ、メリット・デメリットをまとめていきます。
「自分一人で回せる超小規模カフェ」のメリット、デメリット

とにかく自分一人で好きにやりたい、いきなり従業員を雇うのが怖いから自分だけで、そんな風に考える人には「自分一人で回せるカフェ」がオススメです。
メリット:何もかも自分の好きなようにできる
たった1人でカフェを運営するので、誰にも縛られることもなく、誰のことも考える必要なく、何もかもが自分の好きなようにできることが最大のメリットです。
まさに「夢のカフェ開業」ですね。
メリット:超小規模なのでリスクが小さい
カフェを開業するには厨房機器、内装費など初期投資が必要です。
1人で回せる規模のカフェは広さはたかが知れているため、初期投資は小さく済ませることができます。
初期投資が少ないということは創業資金の準備も容易になることも意味しています。
また、万が一カフェ経営がうまくいかなかったとしても大きな痛手を追うことなく撤退することができるのもメリットの一つです。
メリット:リピーターを作りやすい
1人カフェの場合、経営者自ら現場に立ち、料理を作り、接客をすることになります。ホームページやSNSの更新も自分一人でやらなければいけません。
ぶっちゃけすごい大変ですが、全ての作業・行動に経営者の「想い」が詰まっています。だから良いんです。
お客さんはそういった見えない価値を敏感に感じ取り、お店のファンになってくれます。
デメリット:1人なので作業が膨大
自由にカフェ経営できる反面、すべての作業を1人でこなさなければなりません。
- 毎日の開店、閉店作業
- 仕込み
- 買い出し
- 新メニューの考案
- ホームページ、SNSの更新
- 事務作業 など
店の営業に関係ない作業(役所関係、経理業務など)は、営業が終わってから、または休みの日に作業することになります。
結局、店は休みでも自分の仕事は溜まる一方なので年中無休で働くことに。
それでは体力的に長続きしないので、店の休みを週1から週2に変えるのですが、1日分の売上が減るので収入も下がるスパライル。このバランスは非常に難しいですね。
私は妻と2人でカフェを開業しましたが、2人でも開業から1年間は本当に休みがありませんでした。
デメリット:売上と利益の上限が決まっている
1人で回せる席数は結構がんばって15席まで。満席時で10〜12席程度埋まる規模です。それ以上は料理の提供が遅くなるので難しいでしょう。
客単価1,000円だと仮定すれば、
1,000円×10席×1日の回転数2.5回転=1日の売上は25,000円
26日営業で月商650,000円です。
ここから材料費162,500円(25%)、家賃150,000円、水道光熱費80,000円、消耗品費30,000円、その他保険等30,000円を差し引くと、残りは197,500円。これが自分の給料です。
正直、独立してこの金額であれば微妙です(笑)
開業時に銀行から借入するのであれば、さらにここから返済しなければなりません。
イートインだけではなく物販で売上を増やしたり、材料費が安いメニューを売る仕組みを作ったり、最初の契約で家賃を抑えつつ集客できる場所を見つける等、努力が必要になってきますね。
デメリット:営業中は店を抜けられない
材料を切らしたから買い物に行きたい、今日出したい郵便物がある、役所に行かなければならない、そんなことがあっても営業中は店を抜けることができません。
抜けるなら一旦CLOSEするしかありませんが、そういう時に限ってお客さんが来るから不思議なものです(笑)
デメリット:体調を崩したらアウト
1人でカフェを運営する場合はこれが全てかもしれません。
体調を崩したら店に立てないので収入はゼロ、、どころか、家賃は発生してるし、お客さんの信頼にも傷がつくしマイナスです。
今は若いので何とかやれるかもしれませんが、10年後、20年後も同じペースで店に立ち続けられるか。熟慮が必要ですね。
「従業員2-5人雇う小規模カフェ」のメリット、デメリット

続いて、少しの従業員を雇う小規模カフェについてです。
私個人的にはこの規模のカフェが一番オススメです。
メリット:オーナーのイロを出せる適度な規模感
従業員が増えると「そのカフェの独自色」が薄れていきます。オーナーの人柄や雰囲気こそがカフェの最大の差別化ポイントです。
メリット:スタッフの質を担保して採用、運営できる
従業員の数が5名を超えてくるとスタッフの頭数が必要になるので、採用の際にどうしても妥協が生まれます。
「ちょっと雰囲気に合わないけどシフトの融通効くから」
「転職回数多いけど人足りないし」
私の経験上、従業員に妥協すると良いことがありません。
5名以下の従業員であれば、頭数が必要ないので厳選して採用することができますし、多少妥協して採用したとしても人数が少ないので、しっかり教育することができます。
仮に欠員が出たとしてもぶっちゃけオーナーが血吐きながら現場に出れば何とかなる規模です(笑)
メリット:オーナー自身もしっかり休める
2〜5名程度の従業員を雇うことができれば、従業員に任せてお店を営業することも可能になります。
丸一日でなくても、現場にいながらオーナーは事務作業をすることができるようになるので、店の休みの日はオーナーも休みとして、しっかりと休むことができます。
私自身もこの頃が一番休めた気がします(笑)
メリット:売上と利益もそれなりに上げられる
従業員がいれば席数の多いお店を経営することが可能です。
一人で経営するカフェの上限は15席でしたが、ピークタイムに2〜3人で運営することが可能であれば30席程度のカフェもいけます。
満席時24席×客単価1,000円×2.5回転=日商60,000円
日商60,000円×営業日数26日=月商1,560,000円
- 人件費312,000円(20%)
- 材料費390,000円(25%)
- 家賃200,000円
- 水道光熱費120,000円
- 消耗品費50,000円
- その他保険等30,000円
- 社労士顧問契約 50,000円
経費の合計が1,102,000円なので、これを売上から差し引くと毎月408,000円が自分の懐に入ってきます。まずまずではないでしょうか。
デメリット:すべて自由にできなくなる
たった一人でカフェを運営するパターンと比べると、自由度は少なくなります。
例えば、明日から新メニューを出すとして、一人だったらすぐに明日からできますが、従業員がいればいきなり明日からは酷です。
どんな料理かもわかりませんし、作り方もわからないので従業員は不安に思うものです。それが積もり積もって離職に繋がることも。
デメリット:従業員の採用が難しい
メリットで従業員の質を担保できると言いつつも、採用が難しくなります。
理由は2つあります。
- 大人数を募集するわけではないので採用の費用対効果が悪い
※新規開業時は5名とか採用するので求人広告は良い - 「抜けた従業員の穴を埋めるシフトで入れる人」という超限定的な採用なのでそこに当てはまる人が少ない
5名程度の従業員であれば、○○さんは何曜日のいついつ入る人、▲▲さんはいついつ、、、というように、いつシフトに入る人なのか決まってる場合が多いでしょう。
そのような状況で○○さんが辞めてしまったら、その穴をちょうどよく埋めてくれる人が必要になります。これが採用の難しいところ。
とは言え、時間をかけて人を探せば必ずいますので、その間はオーナーが血を吐きながらやり切れば問題ありません(笑)
デメリット:労務管理・給与計算が必要になる(コスパが悪い)
デメリットというか、当たり前のことなのですが、従業員を雇うと労務管理が必要になります。
労務については「知らなかった」では済ませられないので、自分で知識を補完するか、社労士さんと顧問契約が必要になります。ただ、パート・アルバイト含めた5名程度で顧問契約を結ぶのはぶっちゃけコスパは悪いです。
とは言え、残業代も正確に支給しなければなりませんし、有給休暇の義務化もあります。給与計算を間違ったら大変です。
コスパ悪いですが社労士さんと契約が必要になるでしょう。
「従業員5-10人雇う中規模カフェ」のメリット、デメリット

最後は中規模のカフェについてです。
一発目の開業からこの規模のカフェを開く人はそういないと思います(居酒屋だとよくある)。
ただし先に書いた「2-5名雇う小規模カフェ」も、オーナーが現場を離れるとほぼ同等の規模になります。
いずれは従業員に店を任せて店舗展開したい人にも参考になるでしょう。
メリット:休み無しで営業が可能になる
10名近い従業員を雇うことができれば安定してシフトを組むことができるので、年中無休(年末年始は雇った人による)で営業することが可能になります。
ざっくり、オーナー、社員1名、日中働いてくるパートさん3〜5名、夕方・土日働いてくれるバイトが3〜5名程度という構成です。
メリット:売上を伸ばせる
従業員が多ければ席数を増やすことができるので、売上も伸ばすことができます。
しかし従業員が多くなる分、人件費が上昇します。最近は賃金が上昇傾向にあり、従業員を雇うリスクが大きくなってきます。
2〜5名雇う時よりも利益が残るかというと、、、非常に微妙なラインです。
メリット:メニューを豊富にできる
従業員を多く配置できれば料理を手分けして作ることができるので、メニューのラインナップを増やすことができます。
お客さんに「今度はアレを食べてみよう!」と思ってもらうことで、単調なメニューよりはリピートしてもらいやすくなります。
デメリット:オーナー色が薄れる
個人カフェの最大の差別化ポイントはオーナーです。絶対にチェーン店はマネできません。
しかし、チェーン店のように1店舗で働く従業員が多くなればなるほど、「オーナー色」は薄くなるものです。いかに自分がいなくても業務を一定のレベルで集客、リピートしてもらうかが課題になります。
デメリット:従業員問題が発生する
従業員が多くなると大なり小なり問題が発生します。この規模でありがちなトラブルは従業員同士の衝突です。
「あの人、苦手です」
「自分にだけ冷たい」 などなど。
このような問題を解決するのもオーナーの仕事の一つです。純粋にカフェ経営をしたいのであれば、従業員は少ない方が仕事に集中できます。
デメリット:採用コストが増える
学生アルバイトを数人抱えるようになると、卒業や学業の事情でどうしても出入りが多くなります。
辞める時には退職の手続きが必要になり、採用時には求人、面接、入社手続き、教育など採用コストがかかります。
紹介制でうまく学生スタッフを抱えることができるようになれば少し楽です。仕組みも考えておく必要があります。
デメリット:赤字が大きくなりやすい
常に上向きでうまくいくほど飲食ビジネスは甘くありません。どちらかというと、風向きが悪い方が多いでしょう。
従業員を抱えるということは、それだけ人件費がかかります。大人数が働く店となれば物件も広く、家賃などの固定費も高くなりがちです。
売上が絶好調の時は全く問題ないのですが、10月からの消費税増税のように、風向きが変わった瞬間に重くのしかかります。
まとめ

カフェの規模別にメリット、デメリットをまとめてみました。
洗い出せば他にもメリット・デメリットは出てくることでしょう。
大事なのは、自分が開業したいと思っているカフェの規模を想像して、今のうちから、特にデメリットについては想定しておくことです。
なぜなら、私は何も考えずに開業して、上記で挙げてきたデメリットで苦労したからです。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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